大塩天満宮獅子舞


大塩天満宮に奉納される8地区の毛獅子

 播州の祭りは勇壮な屋台練りで知られていますが、「播州獅子どころ」と言われるように、獅子舞も大変盛んな地域といわれています。その中でも大塩の獅子舞は特に有名で、通常の神楽獅子とは異り、頭から尾まで黒毛で覆われた毛獅子で、野獅子の生態を現した豪快な舞が特徴です。
 大塩の獅子舞奉納は鎌倉時代にさかのぼり、室町時代に大塩次郎景範という人物が獅子舞を愛好し、保護育成に尽くされたのが起源と言われています。
 大塩の獅子舞は、北宿村、別所村で行われていた獅子舞が小林村に伝わり、大塩天満宮氏子の各村へ広まったと伝えられています。北宿村、別所村、小林村の獅子舞には十数種類の舞があり、小林村の舞の一部が北脇村と牛谷村へ伝わったといわれ、北脇村には小林村の雌獅子が伝わり、「花の舞」を行うようになったといわれています。西濱村に伝わった獅子は「地の舞」を行うようになり、西濱村から大塩村宮西(宮から西側全体)に伝わったといわれています。後に宮西の人口増加によって中之丁と西之丁に別れ、舞い方も各村独自のものに変化したようです。牛谷村には小林村から雄獅子が伝わり、馬坂峠を越えて大塩村宮東に伝わった獅子舞も、宮本丁と東之丁に別れ、江戸中期には6頭だった獅子も現在では8頭になっています。伝わった伝播経路により北脇・西濱・西之丁・中之丁の獅子が雌獅子、牛谷・宮本丁、東之丁の獅子が雄獅子といわれています。
 大塩天満宮に奉納される獅子舞は大きく分けて「道中舞」と「地舞」があります。道中舞とは、8頭の獅子が一列に並んで鳥居から拝殿までをゆっくりと舞い進むもので、伊勢音頭と笛・太鼓に合わせ、数人の肩車に乗った舞方が獅子頭を高く差し上げて舞います。囃子詞の「セーセー」に合わせて舞う様子は圧巻で、これは勢いを現し「勢ー、勢ー」と書かれています。地舞は境内で奉納される舞のことで、各町それぞれ舞の種類や表現に特徴があります。現在では、屋台を持つ6地区の地舞に一連の物語が付けられています。
 大塩の獅子舞は、昭和63年2月に姫路市重要無形民俗文化財に指定され、平成元年3月には兵庫県重要無形民俗文化財に指定されました。

 

舞の内容

北 脇 暗い洞窟に潜んで神の恩恵を受けない獅子が牡丹の花に誘われて外に出て来る様子を舞う。 
西 濱 明るみに出た獅子は、神の恩恵を受けて万物が生き生きと繁栄している世界を初めて眺め、生を歓喜して舞う。
西之丁 晴れ晴れとした実り豊かな広場に躍り出た獅子は、限りなき天地の神の恩恵に歓喜して舞う。
中之丁 歓喜と感謝に充ちあふれ、獅子が興奮の絶頂に達する様子を表現して舞う。
宮本丁 感謝の喜びを表して激しく舞う獅子にも、ようやく平常の心が見え始める。
東之丁 神の恩恵に歓喜した獅子は、最後の力を振り絞り、天を仰いで舞い納める。
小 林 小林、牛谷地区の獅子は、独特の舞を表現している。
牛 谷

■参考文献:大塩天満宮発行「祭」